ざっくり言うと…
○日ハムの試合中にファウルボールが当たって失明した30代の女性が起こした訴訟の第2審が札幌高裁で始まった。
○1審では裁判所は日ハムに4200万円の賠償を命じていた。
○2審でも日ハム側は「打球の飛来する危険性を訴えていた」「安全対策を行うと野球の臨場感が損なわれる」と主張している。
管理人の反応
安全対策、安全管理としては不十分だと考えている。
たぶん安全配慮義務違反というものなんだろうね。判例では例えば雇用契約に付随して、安全な環境で作業をするように配慮する義務を認めている。
まあ、元々は労災に関する判例なんだけど、客に安全な環境で観戦できるように環境を配備する義務もあるという感じでスライドして考えることもできるのかなと。
最高裁第3小法廷は昭和50年2月25日判決(陸上自衛隊八戸車両整備工場事件)において次の判断を示しました。「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負つているものと解すべき」
アスベストが充満している環境で解体作業をさせてはいけないなど。
これはもう確定した判例らしい。
だから、今回の日ハムの事例にあてはめてみても「野球の観戦させる契約」に付随して「安全な環境で野球観戦できるように配慮する義務」は当然あるんじゃないかな?
なお、同様のファールボール訴訟で仙台地裁や仙台高裁での判決が2011年にあった。
この判決では観客側が敗訴している。ここまで言い切る裁判長は相当な野球好きかなんJ民なんじゃないかw(以下の引用判例)。
クリネックススタジアム宮城(仙台市)の内野席でプロ野球観戦中にファウルボールが右目を直撃し視力が低下したとして、宮城県の男性(49)が主催者の楽天野球団などに約4400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は14日、請求を退けた一審仙台地裁判決を支持、男性側の控訴を棄却した。
判決理由で田村幸一裁判長は、フェンスが内野席全体に設置されていることなどを挙げ「球場が通常備えているべき安全性を欠いているとは言えない」と指摘。
また、「内野席フェンス上のネット部分を取り外す球場も出てくるなど、プロ野球観戦では臨場感が本質的な要素だ」と述べた。
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ネットの反応
これくらいの周知徹底をCMやら新聞広告で撃ちまくるくらいしないと、プロ野球は無責任すぎるだろう。
ソース記事
札幌ドームでプロ野球・日本ハムの試合を観戦中にファウルボールが当たり右目を失明した女性が、球団やドームなどに賠償を求めた裁判の2審の審理が札幌高等裁判所で始まり、1審で賠償を命じられた球団などは改めて争う姿勢を示しました。
1審は「注意喚起をしていたことをふまえても安全性を欠いていた」として球団などにおよそ4200万円の賠償を命じました。
この裁判の2審の審理が8日から札幌高等裁判所で始まり、原告側は「初めて球場を訪れるような観客にも配慮した安全対策が必要だった」と主張しました。
一方、被告の球団などは「観客には打球が飛来する危険性を呼びかけていた」などとして安全性の確保に取り組んでいたことを訴えました。
さらに、「打球の危険性など野球の特性を十分に理解しない観客を基準に安全対策を行うと野球の臨場感を著しく損ないかねない」として改めて争う姿勢を示しました。ファウルボール裁判2審始まる – NHK 北海道 NEWS WEB
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